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ベネッセの顧客情報流出事件~個人情報保護対策のススメ~

2014.09.26

経済産業省による是正勧告発動!

 

さて、本日は、皆さまもご存知のとおり、株式会社ベネッセコーポレーションにおいて発生した顧客情報流出事件について、お話させていただきます。

 

個人情報や企業情報の保護対策の分野は、私自身、興味のある分野で、現在も、研鑽を積んでいる分野になります。将来的には、事業主(法人企業)の方向けに、セミナーや社内研修・教育の開催のお手伝いをしていきたいと考えています。

 

経済産業省の発表によると、

 

「本日(平成26年9月26日(金))、株式会社ベネッセコーポレーションに対し、個人情報の保護に関する法律(以下「法」)第34条第1項の規定に基づき、法違反行為を是正するために必要な措置をとり、個人情報の漏えいの再発防止を徹底するよう勧告しました。」

 

とのことです。

 

勧告事項(内容)としては、「経済産業省が株式会社ベネッセコーポレーションに対し、法第32条の規定に基づき報告の徴収を行ったところ、法違反行為が認められたため、個人情報の漏えいの再発防止に向けて、委託先も含めた個人情報の保護に関する実施体制の明確化、および情報セキュリティ対策の具体化を行うよう勧告しました。

 

認定した違反行為は、個人情報の安全管理措置義務違反(法第20条)及び委託先の管理監督義務違反(法第22条)です。」という内容になります。

 

 

改めて、事件の内容について振り返りますが、この事件は、ベネッセコーポレーションが管理するデータベースから、ベネッセコーポレーションのシステム開発・運用を行っているグループ会社・株式会社シンフォームの業務委託先の元社員(システムエンジニア)が、不正に個人情報を持ち出した事件になります。

 

なお、個人情報を不正に持ち出した元社員は、「不正競争防止法」違反の被疑事実で逮捕されるに至っています。

 

経済産業省による今回の是正勧告は、いったん、ベネッセコーポレーションから、再発防止策も含めて事実関係の報告がなされたにもかかわらず、その対応策が不十分であるとしてなされたものになります。

 

 

あなたの会社では、個人情報保護対策は進んでいますか?

 

さて、「個人情報の保護に関する法律」(以下「個人情報保護法」といいます。)第34条第1項に基づく「勧告」に従わなかった場合、どうなるのでしょうか?

 

もちろん、ベネッセが、経済産業省の「勧告」を無視して、これに従わないという事態は起きないでしょうが。

 

結論としては、どうもなりません・・・

 

個人情報保護法では、「勧告」に従わない場合でも、罰則の対象になりません。

罰則の対象になるのは、「命令」(個人情報法保護法第34条第2項又は第3項に基づく「命令」になります。)に違反した場合になります。

 

<参考条文>

第五十六条

第三十四条第二項又は第三項の規定による命令に違反した者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

第三十四条

(第一項省略)

 主務大臣は、前項の規定による勧告を受けた個人情報取扱事業者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において個人の重大な権利利益の侵害が切迫していると認めるときは、当該個人情報取扱事業者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

 主務大臣は、前二項の規定にかかわらず、個人情報取扱事業者が第十六条、第十七条、第二十条から第二十二条まで又は第二十三条第一項の規定に違反した場合において個人の重大な権利利益を害する事実があるため緊急に措置をとる必要があると認めるときは、当該個人情報取扱事業者に対し、当該違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 

言うまでもなく、今回のベネッセの顧客情報流出事件で大切なのは、「各法人企業において、いかに個人情報保護対策を進めるか」です。

 

変な言い方ですが、何らかのトラブルで、民事上の損害賠償責任を負う程度ならまだ良いのですが(法人企業の存続を揺るがす高額賠償は別ですが)、営利活動を営む法人企業として、顧客や取引先の信頼・信用を失うことは、下手をすると、その法人企業の存続が不可能になる程の取り返しのつかない損害を生じさせることになります。

 

おそらく、法人企業において、個人情報保護対策は、その対策によって、直ちに、売上などの利益に直結するわけではないので、予算などの費用を掛けづらい分野であり、対策も後手に回りがちな分野でもあります。

 

事後的な対応で済めばいいのですが、可能ならば、しっかりと社内研修・教育などを行い、事前に個人情報保護の体制を組織的に構築しておく必要があります。

 

「備えあれば憂いなし」あなたの会社では、個人情報保護対策は進んでいますか?

 

 

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