さち先生の種まきブログ
後遺障害診断書を書いてもらうための注意点
2016.03.15
1 後遺障害等級認定の申請のためには「病院」へ行くこと!
「初診時だけ整形外科に行って、後は整骨院しか行っていません。
後遺障害等級認定が非該当でしたが、納得できないので、異議申立てできますか?」
「整骨・接骨院しか行っていないのですが、後遺障害等級認定はとれますか?」
これらは、交通事故の被害者の方からある意外と多いご相談内容といえますが、
後遺障害等級認定の見通しとしては、厳しいと言わざるを得ません。
後遺障害等級認定の審査が基本的に書面審査になることは、既にお伝えしたとおりですが、
初診時しか整形外科に行っていないのであれば、
その後の症状固定時までの症状経過や治療状況を病院や医師が把握していないわけですから、
具体的かつ過不足のない後遺障害診断書を作成しようにも、作成できないことは明らかといえます。
また、後遺障害等級認定においては、症状経過、
すなわち、症状が受傷時から症状固定時まで一貫して継続しているかが大切になるところ、
病院(整形外科・外科)での症状経過が把握できなければ、
不利な認定を受けてしまう可能性が高いと言わざるを得ません
(後遺障害等級認定の審査機関は、「病院」「医師」の医学的判断を重視する傾向にあります。)。
さらに、後遺障害診断書を作成できるのは、
あくまで「医師」であって、整骨・接骨院の柔道整復師の先生ではありません。
全く病院へ行っていないのに、いきなり病院へ行って、
後遺障害診断書を作成してくださいとお願いしても、断られても仕方ないと言わざるを得ません。
もちろん、きちんと治療をしてくださる柔道整復師の先生もいらっしゃいますので、
整骨・接骨院へ行ってはいけないというわけではないのですが、
具体的かつ過不足のない後遺障害診断書の作成をするという意味では、
定期的に「病院」(整形外科・外科)での治療を継続する必要があるといえます。
2 後遺障害等級認定の審査は厳密です・・・
「右上腕骨近位端骨折」「右鎖骨遠位端骨折」で右肩が上がらないのですが、
先生(医師)が、しっかり計測してくれないんです・・・
驚くかもしれませんが、実際に「目分量」で、
「何度くらいかな?」と判断してしまう医師がいらっしゃいます。
本来なら、「ゴニオメーター」という器具で計測していただきたいのですが、
本当に目分量測定をする医師がいらっしゃるのです・・・
後遺障害等級認定の審査は厳密で、
例えば、後遺障害等級12級の肩関節の可動域制限の場合、
健側の正常値180度と比較して、患側が135度以下になれば、
後遺障害等級認定の可能性が出てきます。
しかし、目分量で「140度くらいかな?」と測定されてしまうと、
その瞬間に、12級の後遺障害等級認定の可能性が無くなってくるのです。
たった5度の差かもしれませんが、
あいまいな目分量測定によって、12級の後遺障害等級認定の可能性は厳しくなるのです。
ちなみに、時間が経過した後に、きちんと計測し直して、実は135度以下でしたと報告しても、
今度は交通事故との因果関係を疑われることになるので、
初回の後遺障害等級認定の申請時に、しっかりと計測してもらう必要があります。
なお、仮に12級の後遺障害等級認定の可能性が無くなったとしても、
痛みやしびれなどの神経症状が残っている場合には、
「局部に神経症状を残すもの」として、
14級9号の後遺障害等級認定を受けることができる可能性は残っています。
交通事故の被害者の皆さん。関節部に可動域制限が残ってしまった場合、
主治医の先生は、目分量ではなく、きちんと測定してくださっていますか?
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