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民法の大幅な改正が実現しようとしています

2015.02.13

民法改正により生活は変化するのか?

 

安佐北区にある中学校の生徒さんが、職場体験学習ということで、事務所訪問に来てくれました。

 

「弁護士さんは、法律は何でも知っているのですか?」

「憲法など、全部の法律を覚えているのですか?」などのご質問がありました。

 

もちろん、答えは「NO」で、弁護士といっても、あらゆる法令や問題などに精通しているわけではありません。

 

弁護士によっては、分野によって得手不得手もあるでしょうし、専門分野も異なるといえます。

 

そして、どれ一つとして、同じ事件・事案はなく、毎度、きちんと事実関係を整理・分析し、リサーチ(調査)も行い、

法的な判断をしていくわけですから、毎日が勉強の様なものです。

 

そんな日々の中、ご存知の方も多いでしょうが、久々に民法の大幅な改正が行われようとしています。

 

具体的には、契約のルールなど債権に関する規定が大幅に見直される予定で、

消費者保護の観点から、約款に関する規定も盛り込まれようとしているようです。

 

民法は、民事法分野の基本ルールといえ、

皆さんの取引をめぐる生活環境にも影響を与えるものになりますので、是非、注目しておいてください。

 

詳細については、改正内容が確定次第、色々と情報発信をしていこうと思っているのですが、

私自身、勉強して民法改正に付いて行かないと、実務で通用しなくなってしまいますので、しっかり勉強していこうと思っています。

 

 

「ノークレームでお願いします」は通用するのか?

 

さて、先日から、何度かネットショッピングでのトラブルについて書かせていただいたのですが、

本日は、ご質問のあったトラブルについて、少しだけお話させていただきます。

 

ネットショッピングなどをしていると、

 

「ノークレームでお願いします。」

 

「商品の瑕疵(欠陥)などについては、責任を負えません。」といった、

 

「ノークレーム・ノーリターン特約」の表示を見かけることがあります。

 

「このような特約の表示は有効で、購入した商品に瑕疵(欠陥)が見つかった場合は、

返品や売主の責任追及はできないのでしょうか?」

 

というのが、ご相談内容になります。

 

このような特約は、売主の担保責任を免除するもので、当事者の合意に基づく限り、基本的には有効として扱われます。

 

 

もっとも、購入した商品が、一般に市場で代替品が見つかるような「不特定物」(商品の個性に着目していない物)であれば、

瑕疵(欠陥)ある物を売っても、瑕疵(欠陥)のない物を売るという売主としての義務を果たしていないわけですから、

売買契約に基づき瑕疵(欠陥)のない物が欲しいと請求できます。

 

 

他方で、購入した商品が、「特定物」(代替性がない、または商品の個性に着目した物)だった場合、

上記特約が有効である以上、原則的には売主の担保責任を追及できません。

 

 

しかし、売主が瑕疵(欠陥)の存在を知っていた場合(「悪意」の場合)には話が別で、

その場合には、仮に「ノークレーム・ノーリターン特約」が有効であったとしても、

売主の担保責任を追及できることになります(民法第572条参照)。

 

念のため、以下に民法の条文を掲載しておきますので、ご覧になってみてください。

 

<民法第572条>

売主は、第五百六十条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、

知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、

その責任を免れることができない。

 

実はこの条文、売主が「不注意」で瑕疵(欠陥)に気付かない場合のケースについて規定していないのですが、

裁判例では、「重大な過失」の場合には、「悪意」と同視できるとしているケースがあり、

他方で、条文通り「悪意」のケースに限るとしているケースもあり、見解の分かれるところです。

 

さて、この条文は、今度の民法改正で、どのような影響を受けるのか・・・じっくり見守っていきたいと思います。

 

 

 

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